1 研究概要(Abstract)
本研究は、『OAHSPE』に記されたシャーラム共同体を対象に、
三層構造解析(TLA:Triple Layer Analysis)を用いて、
理想社会を維持する社会インフラとは何か
という問いを検証するものである。
通常、社会を維持するインフラとしては、
- 国家制度
- 法律
- 市場経済
- 軍事力
などが想定される。
しかし、シャーラム社会では、
- 国家が存在しない
- 私有財産が存在しない
- 市場経済が存在しない
- 軍事制度が存在しない
にもかかわらず、共同体は秩序を維持している。
本研究では、TLAの三層構造
- Layer1:Fact(事実)
- Layer2:Order(構造)
- Layer3:Insight(洞察)
を用いて、
社会制度に依存しない文明維持構造
を明らかにする。
2 研究方法
本研究では、Kosmon-Labで開発された
**三層構造解析(TLA)**を用いる。
TLA分析プロセス
Layer1
史料から客観的事実(Fact)を抽出
Layer2
Factから社会構造(Order)を導出
Layer3
構造から 文明原理(Insight)を導出
この方法により、
思想・宗教・社会制度の背後にある構造
を解析する。
3 Layer1:Fact(事実)
『OAHSPE』のシャーラム共同体には、
次のような特徴が記録されている。
社会制度
- 国家制度なし
- 政府なし
- 私有財産なし
- 売買経済なし
社会構造
- 十人単位の共同体構造
- 長(Chief)
- 首長(C’Chief)
という組織制度
社会規範
- 戦争禁止
- 他者批判禁止
- 利己心の抑制
- 奉仕精神
教育制度
- 幼児教育中心社会
- 職業教育
- 音楽教育
- 道徳教育
- 霊的教育
社会構成
- 孤児を中心とした共同体形成
- 志願者の厳格な選抜
これらの事実から、
通常の国家文明とは異なる社会モデル
が存在していることが確認される。
4 Layer2:Order(構造)
Layer1のFactを構造化すると、
シャーラム社会は次の構造を持つ。
文明の根源
霊的倫理
↓
人格形成
↓
共同体形成
↓
文明形成
社会構造
小共同体ネットワーク
個人
↓
十人共同体
↓
グループ
↓
共同体ネットワーク
統治構造
Chief
↓
C'Chief
↓
共同体評議
経済構造
私有財産否定
↓
共有財産
↓
交換経済
↓
共同体維持
文明進化構造
倫理堕落
↓
正義者離脱
↓
新文明形成
↓
文明更新
この構造から導かれるのは、
国家ではなく共同体ネットワークによる文明
である。
5 Layer3:Insight(洞察)
TLA分析から導かれる最大の洞察は次の通りである。
理想社会のインフラは制度ではない
シャーラム社会では
- 国家
- 法律
- 市場
- 軍事
が存在しない。
しかし秩序は維持されている。
これは
社会秩序の源泉が制度ではない
ことを意味する。
Insight① 文明の基盤は「人格OS」である
社会秩序は
人格倫理
↓
共同体信頼
↓
共同体秩序
↓
社会安定
によって成立する。
つまり
人格が文明のOSである。
Insight② 教育は文明インフラである
シャーラム社会では、
教育
↓
人格形成
↓
倫理社会
↓
文明維持
という構造が存在する。
教育とは、
文明を生成するシステム
である。
Insight③ 理想社会は分散共同体で維持される
国家文明
中央政府
↓
官僚
↓
国民
シャーラム文明
人格
↓
小共同体
↓
ネットワーク文明
つまり
分散型文明
である。
Insight④ 共通倫理が社会インフラとなる
シャーラム社会では
- 戦争禁止
- 利己心抑制
- 他者尊重
という共通倫理が存在する。
倫理規範
↓
行動規範
↓
社会秩序
つまり
価値観が社会インフラとなる。
Insight⑤ 理想社会は選抜によって維持される
シャーラムでは
- 利己的志願者
- 指導者志望者
- 教師志望者
が排除された。
つまり
倫理レベル
↓
選抜
↓
共同体
↓
文明
という構造が存在する。
文明は
倫理レベルによって維持される
のである。
6 総括
本研究の結論は次の通りである。
シャーラム文明から導かれる
理想社会のインフラは次の五つである。
| インフラ | 内容 |
|---|---|
| 人格OS | 社会秩序の源泉 |
| 教育システム | 人格生成 |
| 小共同体ネットワーク | 分散社会 |
| 共通倫理 | 社会規範 |
| 文明選抜 | 倫理レベル維持 |
つまり
理想社会を維持する社会インフラとは
制度ではない。
人格である。
文明は制度によって維持されるのではなく
人格によって維持される。
7 Kosmon-Lab研究の意義
本研究の重要性は、
シャーラム文明を
文明OSとして解析した点
にある。
従来の研究は
- 神話研究
- 宗教研究
- 社会思想研究
に留まっていた。
しかしTLAでは
文明の構造を
人格
↓
共同体
↓
文明
という三層構造で解析することで、シャーラムの世界を一つの「文明OS」として解釈する。
つまり本研究は、
文明とは何によって成立するのか
という問いに対して
制度ではなく人格が文明を支える
という新しい文明モデルを提示するものである。
図解
シャーラム文明OSを図のように整理する。

シャーラム文明の核心は「人格」にある。
人格を形成するために教育が存在し、その人格に基づいた共同体が形成される。
すなわち、シャーラム文明は
人格
↓
教育
↓
共同体
という構造によって成立している。
この文明構造を維持するために、文明維持OSが機能する。
文明維持OSには、統治OS・経済OS・文明防衛OSが存在する。
経済OSでは物欲を抑制するため、
・私有財産の否定
・交換経済(物を貨幣価値に換算させない)
という仕組みが採用される。
また文明防衛OSでは、利己心の侵入を防ぐため、文明分離メカニズムが機能する。
このようにして隔絶された文明は、外世界において倫理が堕落した際、正義者の離脱によって更新される。
正義者は既存の霊的文明に参加する場合もあれば、新たな共同体を形成し、新文明を創出する場合もある。
このようにシャーラム文明は、
文明維持OS
文明進化OS
という二つの機構によって持続・更新される文明構造を持つ。