Research Memo 002

AIによる経営成長分析 ― 事業計画のバージョン比較という試み

Kosmon-Labでは現在、事業計画書や事業戦略書などの経営文書をすべて文章形式で管理し、バージョン履歴を残す形で保存している。

具体的には、Word形式で事業計画や戦略文書を作成し、更新ごとにバージョンを保存することで、経営思考の変化を記録している。

この方法を採用している理由の一つは、将来的にAIによる分析を行うことを想定しているためである。

従来、企業経営の分析は売上や利益といった数値データを中心に行われてきた。
しかしAIの発展により、文章データそのものを分析することが可能になりつつある。

例えば、次のような比較が可能になる。

2026年の事業計画

2027年の事業計画

この二つの文書をAIに比較させることで、

  • 戦略の変化
  • 思考の深化
  • 市場理解の進化
  • 実行度

などを分析することができる。

さらに、実際の活動記録や研究メモと組み合わせることで、

思考

戦略

行動

成果

という経営プロセス全体を振り返ることが可能になる。


この方法が確立すれば、AIは単なるデータ分析ツールではなく、経営の振り返りと改善を支援する思考補助装置として機能することになる。

Kosmon-Labでは、このような仕組みを

AI経営レビュー(AI Strategic Review)

と呼ぶことを検討している。

この仕組みでは、毎年次のようなプロセスを行う。

事業計画

AIによる比較分析

成長の評価

次年度戦略の見直し

これは、書籍で提唱している「第3世代DX」の考え方とも関係している。


第3世代DXでは、人間がすべての思考を担うのではなく、AIを思考補助装置として活用することが前提となる。

人間:方向性の決定
AI:構造分析
人間:最終判断

Kosmon-Labにおける事業計画のバージョン管理は、この第3世代DXの小さな実験でもある。

もしこの方法が有効であれば、AI時代の経営手法の一つとして、今後さらに研究を進めていきたい。

本メモは、その試みの記録である。


所感

著者は27年以上サラリーマンとして勤務し、50歳で個人事業主として独立した。
しかも、日本ではあまり一般的とは言えない「独立研究所」という形態での起業である。
一歩間違えれば、単なる個人的な試みと見られてしまう可能性もある立場での挑戦でもある。

現在は、AIに問い合わせれば多くの回答が得られる時代になった。
しかし、実際にAIを日常的に活用していく中で感じた最大のストレスは、

「以前の対話内容をAIが覚えていない」

という問題である。

これは単なるコンテキストサイズの問題だけではなく、
LLMのアルゴリズム上の特性や確率的な応答生成の仕組みによる影響も大きいと考えられる。

しかし、AIを前提として事業を構築しようとしている立場からすれば、
この問題は避けて通ることができない。

そこで著者は、

「AIと事業計画・事業戦略・事業戦術を共有する」

という方法を試行することにした。

もちろん、この方法は最初からうまく機能したわけではない。
何度も試行錯誤を繰り返しながら、現在も改善を続けている。

今後も、この仕組みを少なくとも「自分自身が実用と認められるレベル」にまで高めていくことを目標としている。
なぜなら、著者の事業計画そのものが、この仕組みの成立を前提としているからである。

本メモは、その試行過程を記録するためのものである。

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