シャーラム文明を実現するための経済構造 ― BtoB交換モデルの必要性
1 問題提起
シャーラムの世界のような理想社会を構想する場合、
ひとつの重大な問題が存在する。
それは、
物々交換を行う経済構造が、外部の貨幣経済に接続された瞬間に崩壊する可能性がある
という問題である。
仮に共同体内部で個人同士が物々交換を行う場合、
その取引の一部が外部世界と接続される可能性がある。
例えば次のような構造である。
内部物々交換
↓
外部市場で売却
↓
貨幣獲得
↓
倫理体系の崩壊
このような構造が発生した場合、
共同体の価値体系は次第に貨幣価値へと置き換えられていく。
その結果、
人格崩壊 → 社会崩壊
という構造が発生する可能性がある。
これは歴史上、多くの共同体で繰り返されてきた現象でもある。
2 シャーラム文明における経済の基本原則
この問題を回避するためには、
単純な物々交換社会では不十分である。
必要となるのは、
BtoB(組織間取引)による交換構造
である。
つまり、
個人 ↔ 個人 (禁止)
企業 ↔ 企業 (許可)
という構造を取る。
この理由は明確である。
企業組織には
・契約
・信用
・監査
・統制
といったガバナンス構造が存在するためである。
そのため、
人格ではなく制度で管理する
ことが可能になる。
3 連盟型経済圏という構想
さらに重要なのは、
単なるBtoBではなく、
シャーラム連盟内部のみで交換を行う
という構造である。
イメージとしては次のような構造になる。
シャーラム連盟企業A
企業B
企業C
企業D
取引
A ↔ B
B ↔ C
C ↔ D
D ↔ A
ただし、
外部市場との取引は制限
される。
つまり、
閉鎖経済圏(Closed Economic System)
を形成する必要がある。
4 歴史上の類似モデル
このような構造は、完全な空想ではない。
歴史上には類似する制度が存在する。
中世ギルド
都市内部の職人同盟
外部市場との取引は統制
修道院経済
共同体内部の自給経済
貨幣経済との接触を制限
ハンザ同盟
都市同盟による交易ネットワーク
同盟内部の取引を優先
これらの制度は、
倫理共同体と経済活動を両立させる試み
であったと見ることができる。
5 文明OSの観点
この問題を文明構造として整理すると次のようになる。
現代文明
経済 > 倫理
シャーラム文明
倫理 > 経済
つまりシャーラム文明は
倫理共同体
である。
このため、
貨幣経済が直接侵入した場合、
文明OSそのものが書き換わる危険性がある。
6 TLAによる構造整理
Layer1(Fact)
・貨幣経済の侵入
・内部倫理の崩壊
・共同体の分裂
Layer2(Structure)
内部倫理圏
↓
市場価値の侵入
↓
価値体系の転換
↓
文明OSの崩壊
Layer3(Insight)
理想社会を成立させるためには、
閉鎖経済圏と制度的ガバナンス
が必要である。
7 今後の仮説
シャーラム文明を構築する場合、
社会構造は次のようになる可能性がある。
セル(10人前後)
↓
ギルド
↓
連盟
そして経済構造は
ギルド企業
↓
連盟内BtoB取引
↓
外部貨幣の遮断
という構造を取る必要があると考えられる。
所感
理想社会は倫理だけでは成立しない。
倫理を維持するためには、
経済構造そのものを設計する必要がある。
シャーラム文明とは、
単なる理想社会ではなく、
文明OSそのものの設計問題
である可能性が高い。