Research Memo 001

第3世代DXの実験 ― AIナビゲーション経営の試み

2026年、私は27年間勤めた会社を退職し、個人事業主として活動を開始することになった。
このタイミングで、自身が執筆している書籍のテーマである「DXの世代論」を、実際の経営に適用する実験を始めることにした。

本書ではDXを次の三つの世代に整理している。

第1世代DX
ITによる業務のデジタル化。

第2世代DX
データを活用した意思決定。

第3世代DX
AIの思考支援のもとで人間が経営を行う段階。

第3世代DXでは、人間がすべてを思考するのではなく、AIを思考補助装置として活用することが前提となる。
つまり、人間とAIの役割は次のように整理される。

人間:目的・意思決定
AI:思考支援・構造整理

現在、私は事業計画書、戦略、事業ストーリーなどをすべて文章として整理し、それらをAIが読み取れる形で管理している。
そのうえで、AIに計画を読み込ませ、そこから戦略やタスクを抽出し、それに従って行動するという方法を試みている。


独立直後の最大の不安は、「経験のないことを行う」ことである。
個人事業主としての経営は、これまでの会社員としての経験とは異なる領域が多い。
そのため、すべてを自分の直感で判断するのではなく、計画とAIの分析をナビゲーションとして行動するという方法を選択した。

この方法は、次の構造で整理できる。

事業計画

AIによる構造整理

タスク抽出

人間が実行

定期レビュー

これは一種の「AIナビゲーション経営」と呼べるものかもしれない。

従来の経営では、人間がすべての思考と判断を担っていた。
しかしAI時代の経営では、人間とAIの役割が分担される可能性がある。

人間:方向性
AI:構造化
人間:意思決定

現在の試みは、この仮説を小規模な個人事業の中で検証する実験でもある。

もしこの方法が有効であれば、第3世代DXの実践例として記録する価値があるだろう。

Kosmon-Labは、このような小さな実験と観察を積み重ねながら、AI時代の組織と知識の在り方を研究していく場でもある。

本メモは、その最初の実験記録である。


所感

サラリーマンとしての長いキャリアを経て、何の後ろ盾も持たない「個人事業主」としてのスタートを切った。
不確実性の高いこの社会において、まず生き抜くために著者が考えている最大の戦略は、AIを最大限に活用することである。

2025年、多くの機会を通じて生成AIの活用を検討していく中で、一つの特徴に気づいた。
それは、生成AIは多くの分野においておおよそ「70点」の回答を返してくれる存在であるということである。

一見すると「70点」という評価は中途半端に見える。
しかし実際には、この特性こそが非常に大きな力を持っている。

なぜなら、人間が不得意とする分野において70点の回答を得ることができれば、
人間は自分の得意分野に集中することで、結果として全体として平均以上の成果を生み出すことが可能になるからである。

AIは確かに常に100点の回答を返すわけではない。
しかし、自分の不得意領域を安定して補助してくれる存在として活用するならば、
人間はその上に自分の強みを積み上げることができる。

現在の社会は、まだこの使い方に十分に到達しているとは言えない。
しかし著者は、この発想こそがAI時代における一つの生存戦略であり、
また第2世代DXの重要なテーマの一つになるのではないかと考えている。

本メモは、そのような試行の過程を記録するものである。

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